2005年02月03日

プレスト:パトリツィア・コパチンスカヤ&ヘンリ・シーグフリードソン演奏会

今日というか今週聴いていたもの。NHK-FMの1/28放送分。

  1. ベートーヴェン:ロンド・ア・カプリッチョ “なくした小銭への怒り” 作品128[Pf.HS]
  2. ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第4番イ短調作品23 [Vn.PK, Pf.HS]
  3. パガニーニ:“24のカプリス作品1”から第24番イ短調 [Vn.PK]
  4. ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 [Pf.HS]
  5. シューベルト:音楽に寄せて D.547 [歌.HS, Pf.PK](以降すべてアンコール!)
  6. アラン・リド: 雄牛のフェルディナンド[Vn.PK, 語り.HS]
  7. ディニク:ホラ・スタカート [Vn.PK, Pf.HS]
  8. サティ:“右と左に見えるもの(眼鏡なしで)”から“筋肉幻想曲” [Vn.PK, Pf.HS]
  9. ロッシーニ:2匹の猫のこっけいな二重唱 [歌.PK, 歌とPf.HS]

[2004-07-20, Helmut-List-Halle, Graz]

NHKのベストオブクラシックでは、“パトリツィア・ コパチンスカヤ バイオリン・リサイタル”となっていたが、内容からすると、“ヘンリ・シーグフリードソン”と併記してもいいし、 “バイオリン”もいらないかもしれない、という印象。音楽祭公式では“Presto”がこのコンサートのタイトル。 ちなみに今週の解説は樋口隆氏だった。話の内容は良いのだが、 怪しいアクセントがしょっちゅう出てくるのが気になってしまった。(NHK-FMだとなぜか目立ってしまう)

1曲目はロンド・カプリッチョ。 16分音符の走句はフォルテピアノのが有利だと思っているが、シーグフリードソンはなかなか軽快な音色で表現できている。

2曲目でコパチンスカヤ登場。2人ともいろいろ仕掛けて工夫が見られる。 出来は全く悪くはないが、ベートーヴェンなのでイマイチ実力を発揮できてないと感じさせてしまうところもある。 これは昨年の協奏曲でも感じたなぁ。

おそらく休憩を挟んで3曲目。パガニーニのカプリス。 コレはぜひ映像付きで見たいなぁ。変奏毎の音色の切り替えが良い。テクニック面は私にはわからない。もちろんすごいのだろうが、 みんなこれくらい出来るのかもしれない。

4曲目は再びシーグフリードソン一人で、ブラームスのパガニーニ変奏曲。 古今東西、様々な変奏に使われている主題ではあるが、この演奏会の3曲目4曲目の流れはなかなか面白い。

これ以降は(NHKの時間表記による正味演奏時間だけでも約20分にもわたる)豪華なアンコール。 こっちがメインなんじゃぁ?と思うくらい(笑)。で5曲目は普通にドイツ・リート。ヴァイオリンとピアノの演奏会というのを忘れれば、 何も気にせずじっくり聴き入れる出来。

6曲目はイギリスの作曲家アラン・リドによる、 ヴァイオリン独奏と語りによる作品。日本でも演奏されているようだ。ここではドイツ語による語り。 シーグフリードソンがまたまた芸達者ぶりを発揮している。音楽はヴァイオリンソロのみだが、時々牛の鳴き声も入っている。 語りにヴァイオリン独奏の音だと、ストラヴィンスキーの兵士の物語を思い出させるが、シニカルさというより、のどかさを感じさせる作品。 これは原作の性格のためか。アンコールにしては長く、一つの世界を持っている曲だけに、どういう導入で演奏を始めたのかが気になるところだ。

7曲目は定番のホラ・スタカート。彼女の、 素直にはいかない節回しが心地よい。聴衆も熱狂。

8曲目は、始めて聴いたサティのヴァイオリン曲。やはり素直でなく楽しい曲。 放送では、導入のコパチンスカヤの喋りも流れた。解説によると、『この演奏会のタイトルにあるように、プレスト、 つまり早く演奏するためには、沢山の練習が必要です。そうするとウデに筋肉が付いちゃうの』という内容で、客席もウケていた。 もちろんドイツ語の内容はわからないが、見た目通りのキュートな声だと言うことだけはわかった(笑)。

そして9曲目、うたの世界でも色物系エンターテイメント色の強い、 ロッシーニの猫のデュエット。歌詞はなく2人(2匹?)がみゃーみゃー歌う楽しい曲。 イメージではSop.とMs.のレパートリーの気もしたが、シーグフリードソンも歌う(そして伴奏も)。というか、 2人ともうまいぞ(笑)

ということで、ベートーヴェンなど忘れてしまいそうな楽しい演奏会だった。 もちろんベートーヴェンの出来もよかったのだが、他に比べるとちょっとかすんでしまうくらい。こんどは、 コパチンスカヤの自作も聴きたいところだ(作曲家でもある)

コパチンスカヤは、最近あちこち( 「おかか1968」ダイアリー,Clala-Flala)で話題のニコラ・ ベネデッティや、オランダ等のラジオ中継ででなかなか実力あるなぁと思っていたら すでにDECCAが獲得していたジャニーヌ・ヤンセンのようにヴィジュアル・デビューとは縁のない世界だと思う。 でも彼女ならかわいいおばあちゃんになれそうな気がする(笑)ので、きっと長く続くことでしょう。

 

さて、演奏以外に興味を引いたのが、雄牛のフェルディナンドの原作。 日本では児童書『はな の すきな うし』(岩波書店1954年)として知られている話。またこの原作を使って、Disneyも1938年に『牡牛のフェルディナンド』 として短編映画化しているらしい(アカデミー賞受賞)。長編で言えば『白雪姫』と『ピノキオ』の間の時期にあたる。 ディスニーのキャラクターの中で、鼻のあたりに蝶々が飛んでいる牛がフェルディナンド。私はDisneyのアニメは見たことないが、絵本は多分読んだことある(話の概要を知っていたので)。 話の内容は【参考サイト】 などにて。解説の樋口氏の説明を聞く限りでは、音楽も原作と全く同じ話のようだ。

発表された時期が、スペイン内戦(1936-1939)中ということもあり、 よく反戦的なメッセージととられる。しかし、もっと普遍的な“自分の個性をありのままに受け止める” というテーマなのではないかと私は感じる。話の中でのお母さんを登場させているところからも、そう思えてしまう。

posted by あさがら at 17:58| 千葉 ☀| Comment(2) | TrackBack(2) | ■世界のホールから:今日のBGM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
やはり私は聴けなかったのですが、多芸な人たちなんですね、コバチンスカヤとシーグフリードソンって。コバチンスカヤって作曲もするんですか、知らなかった・・・。
Posted by josquin at 2005年02月03日 22:44
遅いコメントですいません。
作曲も含めて、現代音楽が本拠地のような感じがしますね。もちろんベートーヴェンも演奏するとなったら、いろいろ工夫するようですが。
Posted by あさがら at 2005年02月14日 15:19
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